POV-football blog ‐サッカーのミカタ-

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サッカー・フットボール・蹴球と呼び方はそれぞれあれど、その見方を中心に、戦術・技術・組織論を展開していきます。

2018ロシアW杯|ベルギー戦敗退!本当に打つ手はなかったのか?(2)

 

さてさて。

ベスト4が出そろったところで、顔ぶれをみるとEURO2018かと見紛う様相を呈してきているロシアW杯2018。

 

つい先日行われた準々決勝のベルギー×ブラジル戦は戦術的要素満載の語れる試合ではありますが、ひとまず置いておいて前回の続きを。

 

あらためて、この記事の主眼はタイトルにもある通り「打つ手はなかったのか」という点にあります。「やっぱりベルギーは強かった」「よく頑張った」という意見もあるでしょうが、あの状況で勝利のためにできることはなかったかという点を検証したいのです。そして当ブログの見解では、やりようはあったというのが一先ずの主張です。

 

ではどこがポイントだったのか。アディショナルタイムの高速カウンターはたしかに凄かったし、それこそがベルギーのストロングポイントではありますが、試合の流れを大きく変えたという意味で、やはり後半20分の交代(フェライニ(194cm)&シャドリ(187cm)IN)が最も大きな分岐点だったと言えるでしょう。

 

それまでのベルギーは基本的に地上戦での攻略を実践していました。しかしながらどうも日本相手にそのやり方がはまらなかったです。そこで、ロベルト・マルティネス監督ははっきりと方向転換をします。先ほど述べたように空中戦型の選手を投入してきました。

 

とくにフェライニは本来守備的なポジションで中盤に蓋をするタイプの選手です、それを前線で起用してきました。そこから日本は明らかに守備陣形が崩れ自陣ゴール前に釘付けにされ、交代からわずか4分後の後半24分に失点してしまいました。さらにそれから5分後の後半29分には投入されたフェライニに同点ゴールを奪われてしまいます。

 

この9分間が勝敗を決したと言っても良いでしょう。日本はかなり体力を削られていましたし、空中戦対策も出来ていませんでしたから。ボールの跳ね返しは距離が出ず、セカンドボールを拾われまくり、まったく息がつけない状態でした。同点後は少しベルギーが緩めたせいかボールキープできるようになり、終盤までなんとか同点で推移しましたが。

 

後半36分に打った西野監督の手はこれまでにも見られた本田IN(香川OUT)、山口IN(柴崎OUT)という交代策でした。結局この交代はベルギーの空中戦対策にはならないばかりか、日本のポゼッションを高める効果も得られませんでした。おそらく戦術的な解決を狙ったのではなく本田の決定力に賭けるという考えだったのでしょう。

 

終了間際にくらってしまったカウンターからの逆転ゴールは、まあ普通ありえない前がかかりのポジションが原因ですが、おそらく選手たちは体力的にも精神的にもギリギリに来ていて延長の30分を戦い切る気持ちを持てなかったのだと思います。90分で決着をつけないとやられてしまうという恐れが強くあったのだと思います。

 

さて2失点を喫した9分間について。最初の失点までがあまりに早すぎたのは問題でしょう。選手交代をするにも時間が必要です。選手たちも放り込んでくることは分かっていたのですから、とにかく時間を作ることを最優先すべきでした。簡単に言えばタッチラインの外に出して流れを切るとかクリアは大きくするとか。

 

そして、5分以内に手を打てなかったベンチワークが更なる大問題です。じつは日本のメンバーにはヘディングの強い植田選手(185cm)がいました。つまり単純にフェライニ対策で植田選手を入れるべきだったのです。では誰を外すべきだったか、それは体力が切れかかっていた乾選手だったと思います。

 

そのうえで次のポジション変更を行います。

乾OUT

→長友を乾のポジションへ繰り上げ(左ウイング)

→長谷部を長友のポジションへ変更(左サイドバック

 

こうしておけば、ひとまず空中戦対策をしつつチーム全体の守備力を高めることができます。ベルギーはゴール前めがけてボールを放り込んでくるわけですから、大きい選手を競わせないと絶対やられます。ベルギーも陣形を崩してのスクランブル体制なのですから、日本も4バックとか3バックとか言ってる場合じゃありません。

 

そうしておけば、ゴール前の競り合いを酒井・吉田・庄司・植田に任せ長谷部と柴崎はこぼれてくるセカンドボールに集中してもらい、奪ったらとにかく前につないで時間をかせぐという対策ができたはずなのです。そのまま1失点で推移できれば勝利が見えてくるわけですし。

 

しかしながら、それでも2失点目を喫した場合はさらなるカードが必要になったでしょう。勝ちきるために、あるいは延長戦を戦うために。そしてそのカードはスピードスターであるべきでした。たとえば永井であり浅野であり伊東純也のような。

 

ベルギーのDF陣に対し彼らのスピードはかなり脅威になったと思います。しかしながら西野ジャパンにはそうした能力を持つ選手は選ばれませんでした。もう少し選手の多様性がほしかったところですが、いかんせん準備期間が短すぎました。あと半年あれば選手選考の見極めも空中戦対策ももう一段階深く出来たと思いますが、とにかく時間がなかったのです。

 

その結果、以下の点が詰められませんでした。

  • 対戦相手のパワープレーを想定していなかった
  • ベンチの選手を効果的に起用できなかった
  • 1手の次のさらなる1手を打つための選手がいなかった

 

日本に打つ手はあったし勝てるチャンスもあったけれど、5分以内に相手の交代策の意図を読み即座に交代カードを切るベンチワークの瞬発力とそれを可能にする準備(想定)が不足していたというのが結論になりますでしょうか。とはいえ、なかなかそんな采配はふるえませんし、西野監督は選手でも監督でもW杯の経験はありません。

 

最後の最後で日本サッカー協会を含めたオールジャパンの稚拙さが仇になったわけで、ある意味ロジカルな帰結なのではないでしょうか。たとえば優勝候補フランスの監督はディディエ・デシャンです。20年前の初優勝時のキャプテンであり、チームとして取れるタイトルを全て取った名選手でした。

 

日本代表はそのフランスが初優勝した98年大会から6大会連続の出場を果たし、選手達の経験値は随分と上がってきています。だとするとやはり監督も含めたスタッフの経験値も上がらなくてはならないでしょう。そのあたりを日本サッカー協会はどう考えているのか、今後の動向に注目したいと思います。

 

とはいえ日本チームは頑張りましたし、良いゲームをしたと思います。

お疲れ様でした!!

 ⇒2018ロシアW杯|ベルギー戦敗退!本当に打つ手はなかったのか?(1)を読む


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