POV-football blog ‐サッカーのミカタ-

POV-football blog ‐サッカーのミカタ-

サッカー・フットボール・蹴球と呼び方はそれぞれあれど、その見方を中心に、戦術・技術・組織論を展開していきます。

2018ロシアW杯|ベルギー戦敗退!本当に打つ手はなかったのか?(1)

さてさて。
1勝1分1敗と10人のコロンビア相手にゲットした1勝が効いて、なおかつポーランド戦では主力を休ませることもでき、迎えた運命のベルギー戦。

これまでにはあり得なかった準備万端で迎えた決勝トーナメント1回戦です。「ポーランドに勝っておけば1位抜けでイングランドとやれたのに」とか「負け確定のパス回しはいかがなものか」などの突っ込みどころはありますが、それでもベスト16の勝ち抜けを想定した準備は日本代表W杯史上初の試みです。

90分間の試合中だけにとどまる経験値ではなく、先を見越した準備を含めたトータルメネジメントの経験値が代表チームに加算されることは大きな財産ですし、そうした意味で日本サッカー全体が一段階前進したポジティブなチャレンジであったことに間違いはありません。

デブルイネ対策がきっちり効いた前半

さて、結果については後半早々に2-0としたものの、ベルギーのとったパワープレー交代策に対応できず、終了間際には自CKからのカウンターで逆転を許してしまい惜しくも2-3の敗戦となってしまいました。

日本・ベルギー双方ともに前半は焦れる展開で、ベルギーにはチャンスがあったものの日本のまったりとしたパスワークと前線からのかっちりとパスコースを消す守備に手を焼いており、イライラが募ってくる様子が見てとれました。

ベルギーはMFのデブルイネが《正確なキック×抜群の走力×超絶サッカー脳》を駆使してゲームを作ってきます。逆にそこへの経由を絶てれば相手の組み立てを阻害できるわけで、西野監督はその辺の対策はきっちり取ってきたという印象を受けました。まあ、ちょっとでもサッカーをかじっていればわかるようなことではあるんですが。

日本のマスメディアではFWのルカクアザールばかりがクローズアップされていましたが、気の利いたパスがこなければFWは機能しません。また日本のDF陣もギリギリではありますがよく対処していました。

さらに日本の1トップ大迫がよくボールを収めてくれました。あれだけ競り合ってボールをキープしてくれれば、周囲にパス回しの余裕が生まれます。時間にして数秒ですが、これが日本の攻撃と守備の生命線になっていました。大迫のポストプレーは半端なかった。

後半戦(1)先制に成功した日本、そして

後半に突入し、試合はいきなり動きます。柴崎のロングスルーパスから原口が抜け出し左サイドへ綺麗なシュートが決まりました。これまで右サイドで起用されてきた原口はなかなか攻撃に絡めていませんでしたが、大一番での活躍。事前のスカウティングでも相手左サイドのカラスコの裏スペースはケアが薄いとされていましたから、ある意味ロジカルなゴールでもありました。

そして、すぐさま乾のビューティフル追加点が突き刺さります。これこそ戦術的要素度外視の個の能力による得点。今大会のラッキーボーイがまたも活躍して2-0と突き放す理想的な展開です。

よもやの展開でベルギーの焦りは募りますが、これまでの地上戦を放棄して空中戦に賭ける交代策を打ってきます。地上戦要員の両サイドを2枚代えし、ヘディング要員のフェライニと放り込み要員のシャドリを投入してきました。

この交代は西野監督も想定していなかったのではないでしょうか。なぜならフェライニは中盤の守備的な選手で最前線で起用されることはほぼなかったからです。西野監督の混乱に満ちた表情はとても印象的でした。

ピッチ内の選手たちはベルギーの戦術変更に対応できず、そこから立て続けに2失点してしまいました。とくに2失点目は相手の思惑通りフェライニに奪われてしまい、いつかどこかで見たパワープレーに屈する日本代表が再現されてしまったことになります。

後半戦(2)日本の交代策は…

2-2となってしまったことで、西野監督が打った手は本田(香川out)と山口(柴崎out)の投入でした。延長戦までを見据えていたのかは分かりませんが、本田の得点力に賭けて勝ち切りを目指したのは間違いないでしょう。

たしかに本田はチャンスを作りました。なんとかボールをキープしてマイボールの時間を増やし、FKもゲットしました。ちなみに終了間際のFKは8年前を思い起こさせるものでした。無回転で放たれたシュートは大きくドライブしゴールマウスを襲ったわけですが、今大会の試合球は無回転を狙いやすく本田はその特性も理解していたようです。ちなみに乾の2得点目も無回転シュートでしたね。

その流れで運命のCKからの逆カウンター失点につながるわけですが、チーム全体で得点を取りに行ったのは稚拙と言わざるを得ません。トーナメント形式の中終了間際のあの時間帯で前がかりになるチームはまず見かけません。逆に言えば、普段はやらない判断をしてしまったわけで、選手たちは極限まで追い詰められていたのではないでしょうか。

と試合をざっくりと振り返るだけで長くなってしまったので、勝利できたかもしれない「あったはずの打つ手」については次回に譲りたいと思います。

いろんなことを差し引いても非常にエキサイティングなゲームでした。選手たちはほぼ100%を出し切ったと思います。ナイスゲーム!お疲れ様でした!!

 

ではでは。 

 ⇒2018ロシアW杯|ベルギー戦敗退!本当に打つ手はなかったのか?(2)に続く


日本ブログ村登録中につき、応援クリックいただけるとありがたいです。

にほんブログ村 サッカーブログ サッカー論へ
にほんブログ村