POV-football blog ‐サッカーのミカタ-

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サッカー・フットボール・蹴球と呼び方はそれぞれあれど、その見方を中心に、戦術・技術・組織論を展開していきます。

U20W杯|ウルグアイ戦評(1)

さてさて。

現在韓国で開催中のサッカーU20W杯

我らが日本代表は、アジア予選で全勝&無失点でのアジアチャンピオンという肩書を引っ提げて戦いに挑んでいるところです。初戦の南アフリカ戦では、失点しつつも2-1と逆転勝利。もっとも内容は終始不安定で、よいとも悪いとも言えず、勝利(勝ち点3ゲット)したことが収穫と言ってよい試合でした。

今回とりあげるのは、GLの3位までに決勝トーナメント進出の可能性があり、その可能性は高まったという流れでの第2戦。対戦相手のウルグアイは南米予選1位の強豪で今大会の優勝候補のひとつ。アジア1位と南米1位、さらに言えばヨーロッパ2位のイタリアも同じグループになるという、なんともバランスの悪い組み合わせですが、ともかくウルグアイは難敵です。

結果を先に記せば、0-2の敗戦となってしまいました。やられ方はこれまでの日本代表と同じ形だったように思います。試合開始直後は海外選手の寄せの速さやリーチの違いに戸惑う。だんだん慣れてきて、ボールを回せるようになるものの、その実持たされているという形にコントロールされ。自分たちのミスやエアポケットのような集中力の欠如から、シンプルにスコーンと失点。という流れです。

世界との差

これまでに何度も語られ、選手のインタビューでもテンプレになっている感がありますが、それでもやはり世界との差について触れないわけにはいかないと思います。簡単に言うと以下のようなものでしょうか。

  1. 決定力の差
  2. フィジカルの差
  3. 球際の差

1.決定力の差

基本的なボールコントロール能力の不足

決定力については、センスとか本能の問題であるという意見が大勢を占めているように思いますが、トレーニングで大幅に改善できるという可能性を信じてみたいところです。当ブログのエントリーシュート技術|GKにぶつけない方法 - POV-football blog ‐サッカーのミカタ-では、そのあたりのことについて触れてあるので、参考までに。ともあれ、ウルグアイ戦での久保選手と堂安選手のヘディングシュートはお粗末でした。

ボール扱いに自信のある選手はヘディングが苦手というのが相場ですが、それでも押し込むだけのボールをふかしてみたり、相手GKにパスしてみたりというのは、決定力以前の問題だと言ってよいでしょう。単純にトレーニング不足なのかもと。ちなみに第1戦の南アフリカ戦でも、岩崎選手が決定的ヘディングシュートを枠外に放っています。

問題なのは、20歳前後になっても、ヘディングを含めた総合的なボールコントロール技術がおろそかだということです。育成指導が機能していないことの証拠なのではないでしょうか。サッカーは足だけで行うスポーツではなく、手以外でボールを扱うスポーツであるわけですから。

ミニゲームの弊害

さらに決定力に関して言えば、日本サッカー界の育成の問題点は練習でのミニゲームにあると見ます。コーンをゴールに見立ててやる例のやつです。ボールにたくさん触れられるというメリットがありますが、実際の試合でのシュート場面を想定しにくいというデメリットが曲者なのです。なぜならば、実際のゴールにはGKが邪魔をしていて、空間的にはゴールポストとバーに区切られ、天井が設定され、ゴールネットが張られているという違いがあるからです。

海外のゴールシーンなどを見ると、明らかに天井を狙って打つシュートというのが、ひとつの定石(テクニックと言ってよい)として確立されていますが、コーンでこしらえたゴールではその技術は磨かれませんし、そもそも天井を狙うという発想が生まれてきません。こうした弊害がシュートパターンの貧困化を招いているように思われるのです。

この点久保選手は、ゴールという空間の捉え方が普通の日本人選手とは違っていて、突出して優れています。小川選手はある程度イイ線いっているように見えますが、岩崎選手は典型的な日本人選手の空間認知パターンなのではないかと見受けられます。もっとも、決定力センスの要素を認知パターンと考えれば、時間はかかってもトレーニング次第では改善が見込める分野かもしれません。

また、これはあくまで想像ですが、日本人選手と外国人の選手の一番の違いは、実戦の中でのシュート経験数だと思われます。日本人は単純に場数が少ないのではないか。これは外科医の実力と執刀数の関係にも似ています。名外科医は切った数が違うとよく言われるように。

いずれにせよ、サッカーはサッカーをやることでしか上手くならないわけで、実践とは異なる環境設定での練習では、その環境への最適化が起こり、サッカーそのものの上達には効果が薄いだろうことは明らかです。いたずらに練習量を増やすのではなく、実戦の状況をどうやって練習に落とし込むか、それが指導者の腕の見せ所でしょう。

極論を承知で暴言すると、コーンゴールでのミニゲームの廃止を提唱します。そうすれば日本人選手の決定力は向上するかもしれません。

ではでは。

U20W杯|ウルグアイ戦評(2) - POV-football blog ‐サッカーのミカタ-へ続く


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