POV-football blog ‐サッカーのミカタ-

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サッカー・フットボール・蹴球と呼び方はそれぞれあれど、その見方を中心に、戦術・技術・組織論を展開していきます。

U20W杯|ウルグアイ戦評(2)

さてさて。

前回のエントリーU20W杯|ウルグアイ戦評(1) - POV-football blog ‐サッカーのミカタ-では、試合内容と世界との差について触れました。今回は、その続きを。

前回のエントリーで世界との差について、以下の3つを挙げましたが、今回はその2番目のフィジカルの差と3番目の球際の差について。

  1. 決定力の差
  2. フィジカルの差
  3. 球際の差

2.フィジカルの差&3.球際の差

筋肉・骨格について

この2つは密接に関連しているので、まとめて解説していきたいと思います。ひとえにフィジカルといっても切り口はたくさんある。身長、体重、筋力、筋量、足の速さ、持久力などなど。ウルグアイの選手と比べてみれば、胸板の厚さなどは圧倒的に違っていて、見た目にも筋量の違いは明らかでした。

単純なぶつかり合いでは、重量のあるほうが強いわけですが、これは交通事故にもよく見られますね。トラックと軽自動車がぶつかれば損害は軽自動車のほうが大きいわけです。日本人の成長は海外に比べれば緩やかでユース世代では圧倒的な差がありますから、分が悪いのは当然です。

骨格でいえば、膝から下のリーチが違うので、体やお尻で相手をブロックしても足が伸びてくるように感じますし、ドリブルで突破できたと思ったらスライディングが届いてしまうといったことも日本人との違いです。同質性の高い日本人だと多人種のリーチに慣れていないので、苦戦します。

では、対策はあるのかという話ですが、筋トレはひとつの対策になるでしょう。しかしながら、海外選手の胸板を目指したりする見た目重視の筋トレは百害あって一利なしで、サッカーの動作にあった筋肉をつけることが第一です。さらに言えば、個人的特性を踏まえたうえで日本人の骨格に適った筋量を確保することが大事でしょう。

たとえば、昔デル・ピエロというイタリア代表とユベントスで活躍した選手がいました。ある時から明らかに筋肉がついたのがわかるようになりましたが、その頃から定期的に太ももの肉離れを起こすようになりました。これは骨格や腱に対して筋肉量が多すぎると起こる一種のクラッシュなのだと思われます。個人的特性にあった筋量というのは大事なのです。

球際問題について

フィジカルはもちろん球際で勝ちきるための基礎になりますが、同時にそれなりのテクニックも必要になります。U20で代表になれるクラスの選手はもちろんある程度のコンタクトスキルを備えているはずですが、国内ではトップレベルであることもあり、これまでさほど苦労する経験をしていないと思われます。

しかしながら、国際大会では常にフィジカルで劣勢を強いられます。つまり格上とのコンタクトを90分間求められるわけです。Jリーグの日本人選手が海外移籍後まず苦労するのはこの部分でしょう。とはいえ、その環境が普通になってしまえば、個人差はあるもののある程度慣れてくるものです。実戦を通じて必要な筋肉が鍛えられるのも理由の一つでしょう。

つまり環境が大事だということです。慣れが大事だとも言えますね。日本人選手が海外選手と戦うときに当たりの強さやリーチの違いを苦戦の理由に挙げますし、それは事実なのでしょうが、なぜ本大会で初めての経験になってしまうのか。そこに準備不足を感じます。選手個人の問題なのではく、選手を育成する組織の問題としてですが。

育成時代は常に格上のレベルのチームとの対戦を組むというのがポイントになるでしょう。小学生と中学生、中学生と高校生が混じってゲームを行うという機会が増えれば、自分よりフィジカルが強い場合の経験が積めますので、パニックになる確率もへるでしょう。試合中にアジャストできるという能力も鍛えられると思います。

まとめ

今回のエントリーでは、人種と個人にきちんとカスタマイズされた筋トレをすべきだということと、格上のレベルのフィジカル・コンタクトが要求される環境を用意してあげる必要があるという話をしました。前回のエントリーU20W杯|ウルグアイ戦評(1) - POV-football blog ‐サッカーのミカタ-では決定力について取り上げましたが、いずれも育成をする側の努力が必要だという結論になりました。

指導者にはサッカーの解釈能力と、それを練習に落とし込む手腕が求められますし、サッカー協会も綿密な環境とプログラムを用意する必要がありそうです。日本人はよく勤勉だといわれますが、質を問わない勤勉さは勝利には結びつきません。勉強よりは研究が必要なのだと、そう思います。

ではでは。


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