リオ五輪U23|ナイジェリア戦|戦評|
さてさて。
結果は、4-5の敗戦。 前回のエントリーで懸念していた点がそのまま敗因となったようだ。
つまり、守備時のポジションニングが稚拙すぎた。
そのうえで、自らのミスによる失点。これでは勝てるものも勝てないのが当然だ。
以下に戦評を。
強気のスタメン
スタメンを見て、予想通りだなと思い、同時に危ういなと直感が走った。
とくにDFの人選が。
左から、藤春―塩谷―植田―室屋という並び。GKは櫛引。
まずはOA枠の藤春。足が速く後ろからの攻め上がりが特徴だが、あくまでDFである。まず求められるのは守備力。必要な時に必要な場所にいて守備ができる。つまり正しいポジショニングがとれるか。それが問われる訳だが、この試合では案の定攻め上がった後ろのスペースを狙われていた。亀川の方が安定感は高いと思う。
そしてこれまたOA枠の塩谷。Jリーグであればセンターバックとして真ん中をやってもいいが、所属の広島では右サイドが本職。そしてややサイズが足りない。やはりそのパス能力を生かすためにも、右サイドで使いたい。センターは、植田と岩波でいい。
右サイドの室屋については、スタミナはあるが後方からの組み立て能力に難がある点が懸念要素。そのため下げられたボールをうまく展開できず、GKにバックパス→ロングキック→相手ボールになる、という流れになることが多い、そういう意味で塩谷を右サイドバックに置く方が効果が高いと思う。
GKの櫛引。反応の速さやキックの質あるいはビッグセーブで味方に勇気を与える力など総合力では、中村の方が上ではなかろうか。
とまあ、試合が終わったあとの後出しジャンケンではあるが、代表メンバーが決定されてから、こんなことをちらほらと考えていたのである。
チームカラーと人選のミスマッチ
両サイドバックのオーバーラップを攻めの手段として組み込みたいのであれば、手倉森監督のスタメンになるのだろうが、少々攻撃的で強気すぎる。ブラジル戦で考え直すかと思ったら、結局そのままだったわけで、まだ自分たちの立ち位置が理解できていないのではないかと心配になる。
そもそもこのチームは、固い守備からのカウンターを目指しているわけで、そうすると両サイドバックの攻め上がりはあまり必要ない。チグハグ感が否めない。
藤春だって、起用されたのだから特徴であるオーバーラップが求められていると考えるだろう。室屋だってそうだ。
しかし、この試合でのフォーメーションは4-2-3-1で、左サイドは中島、右サイドは南野がFW然に高めの位置を取るわけだから、そもそも攻め上がるスペースは味方によって消されていることが多い。 *実質は遠藤がアンカーの4-1-4-1。
また、サイドバックの攻め上がりは、自チームがボールキープして攻め上がりを待つ余裕が必要なのだが、固い守備からのカウンターだとその時間はもともとない。
繰り返すが、チームカラーと人選がかみ合っていない。
必要なのは、守備力があり、後方でパスをさばけるサイドバックだった。
中盤の守備力の弱さは相変わらず
中盤の守備もひどかった。興梠を1トップと考えれば、中盤は、中島・南野・原川・大島・遠藤の5人でそのうち守備力がある程度のレベルに達しているのは、遠藤のみである。南野は真ん中に入ってくることもあったから、2トップと捉えてもいいが、それでも4人の中盤で守備に特徴のある選手が1人なのはいただけない。大島はポジショニングについては良いと思うけれども。
しつこいようだが、このチームは「固い守備からのカウンター」を目指しているわけで、逆算すれば、求められる選手は、守備時のポジショニングが良く、運動量があり、奪ったボールを素早く展開できる選手だ。根っこがブレてはいけない。
そうすると、中盤には体を張れるボランチタイプの選手が少なくとも3人は必要になるだろう。 *この手の選手が手薄なのがウィークポイントでもある。。。DF寄りのMFをもう一人選んどけば。。。
FWについては、興梠・南野・中島・浅野のうち2人を組み合わせればいいのではないか。それなりにチャンスはあると思う。
推奨スタメン
とまあ、以上の点から筆者の推奨スタメンは以下の通り。
FW(2):興梠・南野・中島・浅野のうち2人
MF(4):井手口・遠藤・大島・原川 *井手口・遠藤を中央にして中を締めるのもアリ
DF(4):亀川・植田・岩波・塩谷
GK:中村
とにかく、MFの4人+DFの4人できっちり2ラインを引いて、各人の受け持つゾーンに気を配り、ポジションを空けないこと。
FWは敵DFがボールを回していても深追いせず、自分の背後にボールを通されないようパスコースを切るポジションを取ること。
攻めるときは、素早くカウンターで。攻撃人数はせいぜい3人までとし、シュートまで持っていくこと。
調子に乗って攻撃人数を増やせば、逆にカウンターをくらい失点を重ねることだろう。
とにかく慎重に、緻密に、我慢強くやることが大事。
本来であれば、このやり方にプラスして、ボールがキープできている時間帯はポゼッション・スタイルのフォーメーションに変化させるなど、いくつかのやり方をブレンドするのが、常套手段なのだが、今のチーム状態であればそこまで求められないというのが正直なところ。
色気を出さず、粘り強く4-4-2で耐えてほしい。
今後の展望
はっきりいって、このナイジェリア戦は先ほど説明した戦い方であれば勝てている試合だった。
ショートカウンターでチャンスも作れていたし。
というか、初戦が引き分け以上であれば、予選を突破できるかもしれないと予想していただけに、残念でもったいない。
今朝方、次戦以降で対戦するスウェーデン対コロンビア戦の前半だけをみたが、どちらも組織的な守備をベースにそれぞれの特徴を乗っけた良いチームだと感じた。今日のナイジェリアよりは強いだろう。
そんなこんなで予選突破はかなり望み薄となったが、何かしら得るものを持って帰国してほしいところだ。 今日のような試合では、後悔しか残らないだろうから。 出場した選手にはピッチの中で全力を出してもらいたい。
ポイントは監督の戦略・人選である。 メンタルやコンディションを敗戦の理由にしないでもらいたい。
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