POV-football blog ‐サッカーのミカタ-

POV-football blog ‐サッカーのミカタ-

サッカー・フットボール・蹴球と呼び方はそれぞれあれど、その見方を中心に、戦術・技術・組織論を展開していきます。

日本代表|シリア戦評

さてさて。

先日行われたキリンチャレンジカップのシリア戦。

結果は親善試合よろしく1-1の引き分け。久しぶりのA代表の活動だったので、定刻通りにTV観戦したわけですが、ある程度想定通りの内容でワクワク感を感じられなかったのが残念でした。以下に試合内容について気づいたことをいくつか書いてみたいと思います。

CB昌子について

代表選出は3回目、初先発、吉田との初コンビという圧倒的な経験値のなさを考慮すれば、不安定さが垣間見えてもしょうがないんじゃないかというところでしょうか。昨年の対レアル戦やJリーグでのパフォーマンスをみれば、能力が高いことはわかるので単純にコンビネーションの問題だと思います。

次戦のW杯最終予選イラク戦で先発すべきかどうかという疑問もあるでしょうが、森重を選出しておらず今回のシリア戦で試したわけですから、イラク戦で先発させるべきでしょう。少なくとも今回よりは良いパフォーマンスが発揮されると思われますので。

それにしてもW杯最終予選残り3戦での森重落選&昌子起用についてはやや驚きました。これまでのハリル監督の起用からすれば、やけにバッサリと替えたなあと。しかしながら新戦力を試す機会は今まで何度もあったはずなのに、このタイミングはいささか乱暴のような気がします。

その他のDFについては、今回の先発でよいのではないかと思います。というかそれしか選択肢はないでしょう。長友の判断力の低下や酒井の相変わらず相手にぶつけてしまうクロスボールなど問題はありますが…

MF陣について

香川&今野がインサイドハーフ、山口がアンカーという布陣でしたが、今野の得点を別にすればほとんど機能しなかったといっていいでしょう。香川は肩の脱臼、山口は足を痛めたようですし、ふんだりけったりでした。

代表での香川…

まずは香川の開始早々の負傷交代について。相手から奪われたボールを強引に追い掛け回した結果の肩脱臼。香川はこれまでも代表戦では入れ込みすぎで良いパフォーマンスを出せていませんでした。通常のメンタルではなく体こわばっているから、ボールコントロールは微妙にずれるし、余計なボディコンタクトも増えます。今回の怪我もそうしたメンタルがかなり影響した結果だと思われます。

また、香川はインサイドハーフでは良い動きを見せられないことが明らかですが、序列は最上位なので体調が整っていればまず先発となります。インサイドハーフに限れば他に適任な選手がいるわけなので、もしかしたら今回の怪我はハリルにとっては選択肢が減った分悩みも軽減されたのではないでしょうか。 *個人的には、インサイドハーフは柴崎が適任だと思うし、清武も活きるのではないでしょうか。 *本田を起用するならインサイドハーフしかないでしょう。体の強さも活きると思います。体力は90分持たないと思いますが。

アンカー山口

山口はアンカーとしてはやや物足りないと思われます。前に釣り出されて一発でかわされることもあるし、奪ったボールをうまく展開できないし、パスレンジも狭いという難点があります。運動量はありますが、守備にせよビルドアップにせよ全体を俯瞰したポジショニングという視点が弱いような気がします。動きすぎるといってもよいでしょう。

とはいえバランサータイプの選手とWボランチを組むのであれば、その運動量は大きな武器ですし、相手も嫌がることでしょう。と言っておいてなんですが、アンカーにせよWボランチの一角にせよ、山口と交代で入った井手口の方がミドルシュート能力も含めた多様性という意味でより期待できそうです。 *井手口はもっと試しておくべきだったとハリルの準備不足をなじりたくなります。 *現メンバーの最適任者は今野だと思いますが、遠藤航も試してほしいものです。

安定の今野

今野選手については、負傷明けで試合体力が戻っていないことも考慮すれば日本唯一の得点を挙げたわけだし、文句なしでしょう。いつの間にやらアンカー・Wボランチインサイドハーフいずれもこなせるユーティリティープレーヤーへと変貌を遂げております。年齢を考えれば後釜が育ってほしいなあという希望がありますが。

ハリルの思惑

ハリル監督は《アンカー+2枚のインサイドハーフ》で逆三角形を描く中盤を配置しました。イメージとしてはレアルの《カゼミーロ+モドリッチ・クロース》的な配置をイメージしていると考えられます。ショートカウンター志向であることからもそのニュアンスがうかがえます。

とはいえ、レアルと比べれば個の能力や特性のバランスなど大きく見劣りします。アンカーにとって一番大事なのは守備能力ですがそこで求められるのはポジショニングとフィジカルの強さです。カゼミーロはCBも務められるフィジカルもあるし、ポジショニング・運動量も抜群です。

言ってしまえば日本には適正のある選手が少ないということなのですが、これまで長谷部に頼りすぎたツケが一気にきたということでしょう。ここでもハリルの行き当たりばったり感が響きます。遠藤航などを試しておける機会はたくさんあったはずですが。

FW陣について

ハンパない大迫

FW陣は無得点に終わったわけですが、大迫は抜群のポストプレーでアジアレベルを超越したパフォーマンスをみせました。気の利いたパスを出せる選手がいれば、得点もできたでしょうが、今のMF陣にはあまり期待できないことを考慮すれば仕方がないでしょう。いずれにせよ出色の出来でポジションは確定でしょう。

疲労の見える久保

久保については体調が良くなかったのか体に力が入っていないようでした。イラク戦では復調を願いたいものです。クラブチームでの活躍は特筆もので得点力もあることから、スタメン確定でエースとしての活躍を期待したいものです。

動きすぎ・力みすぎの原口

原口については、運動量とスピードはあるものの肝心のシュート時に力みが感じられました。クラブチームでの不調が影響しているようです。それと交代で入った乾が長友とのコンビネーションをみせましたが、原口は動き回ることで長友が侵入するスペースを潰してしてしまっているのが気になります。プレーエリアの意思疎通が必要なのではないでしょうか。

シュートだけが苦手な乾

足首の負傷が伝えられた乾でしたが、心配はどこ吹く風で軽快なドリブルと鋭いパスを披露しました。しかしながら肝心のシュートだけがうまくいかないようです。直近のバルセロナ戦での2得点が取り上げられていますが、もともと決定機を外してしまうことで有名な選手でもありました。

とはいえ、縦突破もカットインもできるので、できればイラク戦ではスタメンでみてみたいと思います。スペインリーグで2シーズン戦ってきた成果、相手が寄せてきても余裕がありますし、あれだけドリブルできればシュートではなく、ラストパスで魅せることは可能でしょう。 *香川の代わりにインサイドハーフで起用しても良いと思います。

GKについて

勝っているうちは川島ということになるのでしょう。できれば他のGKも試しておきたいところですが。気は早いですがW杯予選突破が決定したならば、柏の中村を積極的に起用してもらいたいと思います。能力的には日本人ナンバーワンでしょうから。

総括

ハリルの《ベテラン&海外組重用スタイル》が裏目に出始めていますが、出遅れ感はあるものの結果的には新戦力の発掘につながっているので、ポジティブにとらえていきたいところです。FW陣・DF陣は割と誰が選んでもそうなるんだろうなというメンバーなので、次戦のイラク戦ではMF陣の起用法が監督の腕の見せ所でしょう。

固くいくのであれば、Wボランチ《今野+井手口》にして、トップ下は本田あたりになるんだと思います。今野をアンカー起用するんであればなんとかいけそうな気もしますが90分持つかは微妙ですしね。それは本田にも言えますが。そもそも90分持たない前提の選手が複数いると交代の幅が狭くなってしまいますから。

個人的イラク戦推奨メンバー

イラクがどうくるかで基本布陣は違ってくるのでしょうが、今回のメンバーを活かすのであれば以下のメンバーを推奨します。

[布陣:4-2-3-1]

[FW]大迫 [MF]乾、久保(トップ下)、原口 [Wボランチ]今野、井手口 [DF]長友、吉田、庄子、酒井宏 [GK]川島

Wボランチ

はっきり言って《アンカー+インサイドハーフ》システムだと中盤の守備力が足りず、簡単にDFラインまでボールを運ばれる危険が高いです。そこで守備力の高いガンバの2人をWボランチに据えます。コンビネーションについては心配しなくてすみますし、安心・安全の提案です。

左サイド

シリア戦では、乾のドリブルと長友とのコンビネーションは得点の期待を抱かせる出来でした。また、乾は気の利いたパスも特徴です。相性の良さも考えて左サイドはこの2人に任せてみてはいかがでしょうか。ゲームメークは左サイドでという提案です。

右サイド

原口をこのサイドで起用して欲しい理由は、左サイドで長友とのコンビネーションが構築できていないことにあります。もともと右サイドもコンビネーションは確立されていないので、左サイドは連動性重視、右サイドは敢えて原口の上下動を最大限に活かす方向を模索してはどうかいう提案です

トップ下

シュートが上手い選手をゴールの近くに置くという鉄則を踏まえました。4-2-3-1のトップ下はセカンドストライカーなので、ゴール前に入っていく動きも求められるし、久保が適任ではないでしょうか。相手にとっての脅威を増す提案です。

大迫、川島、DF陣は他に選択肢がなさそうなので言及しませんが、このメンバーであれば、中盤が機能しなかった場合は、本田をトップ下に入れたり、アンカーシステムに変更したりと取り回しもよいでしょう。若い選手は走り切り、ガスが切れたらベテランに託すというのが妥当だと思います。まずは守備重視で。

ではでは。


日本ブログ村登録中につき、応援クリックいただけるとありがたいです。

にほんブログ村 サッカーブログ サッカー論へ
にほんブログ村