POV-football blog ‐サッカーのミカタ-

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サッカー・フットボール・蹴球と呼び方はそれぞれあれど、その見方を中心に、戦術・技術・組織論を展開していきます。

日本代表|W杯最終予選|イラク戦評(2)

さてさて。

前エントリー日本代表|W杯最終予選|イラク戦評(1)からの続き。

4.DF陣からのビルドアップができない

5.両サイドバックのミスが多すぎる

これについては、両方の問題点が絡み合っており、さらに言えば「3.長谷部選手は下降線」も4.の問題と関連があります。

もともとザッケローニ時代はDFからのビルドアップを中心に攻撃を組み立てていて、その当時のメンバー(吉田・森重・長友・内田+長谷部)が不動のときはそれなりに繋ごうという共通理解があったし、その技量も伴っていました。しかし、今はアギーレ⇒ハリルと監督が交代する中、「まずは前へ」という厳格なルールを課せられてしまい、余裕をもって繋ぐという意識が薄れてきたわけです。言うこと聞かないと使ってもらえないですからね。

これに長谷部のパフォーマンスの低下が重なり、後方からボールを前方へ繋げるという作業がまったく回らなくなります。「監督の指示+メンバーの変更+選手のパフォーマンスの低下」が絡み合って、自信が失われ、以前であればボールを落ち着かせてから前へというプレーがめっきり減ってしまいました。ちょっとでも危ないと思えば縦にポーンと蹴ってしまう。いわゆる縦ポンサッカー。この点はハリルホジッチ監督になって、明らかに悪化しています。

それとは別に、「内田の長期に渡る負傷」と「長友の所属クラブの出場機会激減+負傷」などにより、W酒井が起用されるようになります。彼らは海外の所属クラブで出場機会を得てはいるものの、内田・長友に比べれば、サイドでボールを落ち着かせ味方に繋ぐという部分でかなり劣ります。とくに内田はボランチ並みにゲームを作る能力が高いので、その差は歴然です。このイラク戦でも自分たちのボールなのに、ビルドアップの段階で相手にボールを奪われてしまうシーンが多々ありました。

僕の考えでは、W酒井ではこれ以上高いレベルを戦い抜けないと思っています。圧倒的なスピードがあるわけでもないし、素晴らしいクロスボールを放つわけでもない。また、守備能力が高いともいえない。どれかひとつでも突出していればまだ起用するメリットはあると思うけれど。

そういうわけで、守備の安定とビルドアップ向上のためには、左サイドバックは槙野、右サイドバックには遠藤(航)を推します。槙野はCBもできるし、攻撃力もある。遠藤はCBとボランチどちらもできるし、確実に味方につなげる能力がある。ここで取り上げた問題はある程度この2人を起用することで解決できると思います。長友が出れるのであれば、どちらかが右サイドをやればいいでしょう。

6.相変わらずの杜撰なポジショニング

この点につては、当ブログでずっと言い続けていることなので、今さら感はあるけれど、それでも一言。

きちんと走れて戻れる選手を起用してほしいものです。

7.ハリルが動くとチームが動揺する

ややオカルトっぽい話だけれど、なんなんでしょうね、これは。イラク戦でも、柏木⇒山口の交代をしようかというときにFKからヘディングシュートを決められるという。選手はベンチに気を取られ、FKの守備に集中できていなかったように見えました。

ハリルは選手を規律でコントロールしたいようだけれども、信頼の伴わない指揮官が下す命令への対応は、日本人に限らず、面従腹背であると相場が決まっています。「試合に出たい。でも監督のことは信頼していない」「監督の言うことをきかないと試合に出られない、でもききたくない」はたまた「チームには勝ってほしい。でも交代するのは嫌だ」のような、疑心暗鬼+分裂状態がチーム内に蔓延してるんじゃないかと疑りたくなります。

だから監督の行動が試合中にもかかわらず気になってしまう。一枚岩ではない。案外そういうところに、チーム不調の原因があるのではないでしょうか。

今後のおすすめ対策

今回選出されたメンバーは変更がきかないので、その中でのやり繰りになるけれど、次戦のオーストラリア戦に向けて今一度再考していただきたいのは、

  • 本田はワントップで使うかベンチかの2択
  • サイドバックにはやはり長友を起用したい
  • W酒井よりは槙野・遠藤(航)
  • トップ下は清武が適任
  • 長谷部については体力が切れたら交代した方が良い⇒でも後任がなかなか見つからない
  • 岡崎を使うなら2トップにするべき

といったところ。

オーストラリア戦以降であれば、是非4-4-2か4-1-4-1のフォーメーションを試していただきたい。本田をサイド起用しないのであれば、現状の4-2-3-1もありだとは思うけれど。また、大迫など海外で活躍している選手も是非起用してほしいし、マリノスの斉藤は今使わないでいつ使うのかというくらい好調です。

長谷部の後継者問題

さらに、これから最優先で発掘すべき選手は、長谷部の後釜です。おそらく長谷部のパフォーマンスはこれから上向きにはなりにくいので、仮にW杯本戦に出場できたとしても、2年後に代表のボランチを務めることはできないでしょう。とはいえアジア最終予選を戦いながら、キャプテンでありボランチの後継者を試すのは至難の業だから、現実的な線として、最終予選中は長谷部頼みになるでしょう。

しかし、それ以降チームを組み替えることに必ずなります。前回も遠藤が同様の立場になりました。アジア予選まではなんとか乗り切ったけれど、本戦の準備段階で守備力の弱さが露呈し、フル出場することはなくなりました。交代を前提にしたスタメンは、非常事態の対応策の可能性を狭めてしまうので、なるべく避けたいところ。そういう意味でも、長谷部に代わるボランチの発掘・育成は急務です。

では、誰か候補者はいるのか、と言えば「思いつかないなー」というのが現状です。海外組でボランチの選手は長谷部以外いないですからね。まあ、長谷部も所属チームでボランチを務めることはありませんが。それでも可能性があるといえるのは、遠藤(航)ですかね。このポジションはやはり180cmくらいは身長が欲しいところだし、中盤の壁としての能力が優先順位として高いでしょう。でも、遠藤+山口だと配球に難が出てくるので、山口よりはガンバの井手口の方ががより組み合わせとしては良いかもしれません。

背はどちらも低いけれども。。。

井手口は前への攻撃力もあるし、ボールも散らせるし、山口並みに走れるし将来性は高いです。あと1年くらいでどう伸びるか。DFとFWは割と代えがききそうだけれども、今いちばん層が薄いのはボランチ。パスは上手いが守備が弱いではもう通用しないし、その逆もまた然りの時代。日本のサッカーはガラパゴス化していると思うけれど、もっとも顕著なのがボランチでしょう。鹿島の柴崎も守備面を考慮して召集されていないようですし。

U16世代には、平川(FC東京)という超逸材がいますが、2年後には間に合わない。 ⇒U16代表の試合を観ましたが、個人的には日本史上No1のボランチになれると思っています。

どうしたもんじゃろのー。

 

ではでは。 ⇒日本代表|W杯最終予選|イラク戦評(1)に戻る


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