POV-football blog ‐サッカーのミカタ-

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サッカー・フットボール・蹴球と呼び方はそれぞれあれど、その見方を中心に、戦術・技術・組織論を展開していきます。

日本代表|W杯最終予選|タイ戦評

さてさて。

サッカーW杯アジア最終予選の第2戦。相手はタイ。初戦でまさかの敗北を喫したため、ここは是非とも勝っておきたいところ。

アジア最終予選は、5か国と対戦し、ホーム&アウェーで全10試合を行う形式。

その結果上位2チームがW杯に出場できる。考え方としては、各国相手にホーム&アウェーで負け越さないことを念頭に置くべきだ。たとえば、初戦で敗れたUAEには、次のアウェーの試合では勝つ必要がある。それでイーブンだ。

日本の所属するグループBの最強国はオーストラリアだろうから、ここには2引き分けでも構わない。そしてほかの国は、1勝1分けを狙いに行く。そうしておけば、結果的に2位以内には入れるだろう。というわけで、ハリル監督の「残り全部勝つ!」発言や、本田選手の「全部勝つ!!」発言は発想がズレている。

本田選手はマスコミの注目も高く、チーム内でも発言力のある立場だから、メッセージにはなるべく注意を払ってほしいものだ。ブラジルW杯時の「自分たちのサッカー」発言に、チーム全体が引きずられたせいで、惨敗を喫した例もあるわけだし。

「全部勝つ」のは、あくまで自分の希望であって、そこに具体性はない。組み立てるべきは、具体的な方法だ。希望(試合結果)を目標にすると、かならずブレる。なぜならば、相手があることだからだ。だから、目標は相手によって影響されない(にくい)ことにすべきなのだが。。。

 

前置きが長くなってしまったが、試合を振り返っておこう。

良くなった点

結果は、2-0の勝利。

グループ内では、最弱といっていい相手なので、もっとスコアの差がついても良さそうだったが、全体のチグハグ感は未だ修正されず、チーム状態は最悪といっていい部類だった。とはいえ、良くなった点もあるので挙げておこう。

攻撃陣が中央に寄りすぎる回数の減少

UAE戦を踏まえ、選手たちにフィードバックがなされたのだと思う。本田が中央に入ってきて居座る回数はずいぶん減った(それでもまだ多いが)。左サイドの原口もまずは、サイドでボールを受けてから、カットインというプレーが多かったので、それは評価される点だろう。

チーム全体としての運動量増加

原口や浅野はスピードがあって、スペースや相手の裏に走りこむ回数が多いので、必然的にチーム全体に動きが生まれる。山口もボールを追いかける守備が出来るので、運動量が多い。それらによって、ある程度どん詰まり感は解消したし、攻撃←→守備の切り替えにスピードが生まれた。

ポジショニングの向上

上記2点は、スタメンに浅野・原口・山口を新たに起用した効果だが、それによって、最前線に5人も6人も陣取ることが少なくなり、FW・MF・DFの3ラインを構築できていた。これが一番重要で、

攻めに入る→パスをカットされる→相手のカウンターをくらう→DFの枚数が足りない→ピンチになる

という、「俺たちのサッカー」色は随分薄まった。ただ、ここで挙げた点はもともと出来て当たり前のことで、それらを全部やったうえで、どうするかというのが本来求められる課題なのである。

 

依然として不安な点

さて、良くなった点は、基本的にスタメンの入れ替えによってなされた。ということは、もともとのスタメンでは、修正ができないことの裏返しになる。そういう意味で監督の発揮すべき能力が、相応に求められるわけだけれど、疑問符がつきまくっている。

たとえば、この試合では目についたのは、本田のバテ具合。運動量が足りないし、スピード感もない。新スタメンの浅野や原口のスピード感についていけてない感すらあった。また、香川も相変わらず、ボールを持てばノッキングを起こし、ドリブルを仕掛ければ奪われ、シュートには力がない。というわけで、メンバー選考から再考する必要があるのは明らかである。

選手選考に偏りがあるし、試合中の交代にも疑問が多い。本田・香川を重用する理由が見当たらない中、執拗に起用し続けるのは、別の理由(力)があるのではないかと勘繰るほどだ。たとえばスポンサー絡みとか。 *似たようなことはザッケローニ時代にもあった。ちなみに2002年のトルシエ監督はよくメンバーを変えたし、岡田監督も停滞感が漂うとリセットしていたのが対照的ではある。

個人的には、本田と香川の併用はリスクが高いと考える。どちらも運動量が求められるレベルに達していないし、ターンオーバーが多く、守備時のリスク要因になっている。

というわけで、ハリルホジッチ監督は、引き継いだチームを向上させてはおらず、むしろ停滞させているとすらいえる。

タオルを投げつけても、不安は拭えない。

ではでは。

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