POV-football blog ‐サッカーのミカタ-

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サッカー・フットボール・蹴球と呼び方はそれぞれあれど、その見方を中心に、戦術・技術・組織論を展開していきます。

日本代表|W杯最終予選|UAE戦評

さてさて。

昨夜のサッカー日本代表戦。W杯アジア最終予選の初戦。相手は昨年のアジアカップで負けているUAE

結果は、1-2の敗戦。

FIFAのランキングでは格下であり、普通にやれば勝てる相手なのだが、悪い要素がまとめて現れてしまった、そんな試合内容だった。

戦評をしつつ敗因を簡単に挙げておこう。

敗因その1

日本はいつものメンバーに、五輪代表から大島を昇格させ、初先発で起用してきた。

大事なアジア最終予選の初戦でかつホームゲーム。無理することなく固くいくのが定石なのだが、日本はやたらと力が入っている。先制点は早い時間帯でとったものの、その後はセットプレーからの2失点。

繰り返すようだが、普通にやれば勝てる相手なのだ。それなのに普通に普通のことができない。日本サイドに問題は山積していた。

しかし、加えてもうひとつの要素があった。

審判がお粗末すぎたのである。

1失点目のFKを与えた吉田のプレーはファウルではないだろう。2失点目のPKの判定もおかしい。というか相手は完全なPK狙いだったし、通常は演技と判定されるべきである。これがPKなのであれば、宇佐美がPA内で倒されたプレーもPKと判定されるべきだろう。

反対に、後半の浅野の幻のゴールはビデオ判定でも導入しない限り、正確に判定できやしないだろうから、ネットに突き刺せなかった浅野のミスだと捉えるのがサッカー的といえるのではないか。いずれにしても偏りのある判定が多かったのは確かだし、日本の敗因の大きな要素となっていた。

敗因その1:お粗末な審判

敗因その2

とはいえ、1失点目のFKには、それを招いた相応の理由があり、2失点についても同様に自損事故と言えるレベルの自滅である。

ひとまず、1失点目のFKを取られるまでの流れを説明しておこう思う。

[caption id="attachment_324" align="alignnone" width="300"]20160902-01 ①大島が酒井にパスするが、ボールが弱く相手に詰められる[/caption]

 

[caption id="attachment_325" align="alignnone" width="300"]20160902-02 ②相手に詰められた酒井は、なぜかボールを中央へ蹴りだし、それが相手へのナイスパスになる[/caption]

 

[caption id="attachment_326" align="alignnone" width="300"]20160902-03 ③フリーな相手FWへパスがつながる[/caption]

 

[caption id="attachment_327" align="alignnone" width="300"]20160902-04 ④ボールホルダーに一番近い森重は、余裕があるにも関わらず、このあと突破される[/caption]

この流れから、最終的に吉田が1対1になり、相手FWは自分からバランスを崩し倒れたのだが、それがファウルと判定され、FKを直接決められたのだった。すべてに問題があるのだが、起点は大島のパスミスだ。全体が攻め上がっている段階で、自らのミスによってカウンターを受けるという日本お決まりのパターンだ。

2失点目のPKは、長谷部のミスから始まり、最終的にはPA内で1人を相手に3人でボールを奪いにいった挙句、足を引っ掛けるというあり得ないお粗末さだった。日本の失点は、これだけ崩されたら仕方ない、という類のものではなく、ほとんどが自滅によるものなのだ。

それこそが問題なのだけれど。

敗因その2:守備陣のあまりに軽率なミス

ちなみに、守備の問題点については、リオ五輪代表を例に挙げて、以下の記事で解説している。 リオ五輪U23|ブラジル戦にみる日本の守備

敗因その3

守備陣だけでなく、1得点に終わった攻撃陣にも責任はある。

縦に早い攻撃を目指していたはずなのに、試合が始まってみれば、既視感のある「俺たちのサッカー」=「ちまちまパスサッカー」が展開された。それでも清武は、左サイドのスペースをうまく使ってチャンスメイクをしていた。後半のビッグチャンスをものにできなかったのは痛いが。。。

反対に、本田と香川はいつものように、真ん中に集まって「ちまちまパスサッカー」を繰り広げ、しばしばボールを失い、カウンターを受けるきっかけになっていた。

とはいえ本田は1点とった。しかし、香川は所属チームのドルトムントではそれなりに動けているようだが、日本代表に入ると、責任感のせいなのか余計なプレッシャーのせいなのか、体が硬くなってしまいここぞのチャンスをものにできない。攻撃のスピードを遅らせる原因にもなっていた。

もはやイップスといっていい段階だと思う。

後半の宇佐美を投入する場面では、清武OUTではなく香川OUTとし、清武は中央に配置、宇佐美左サイドという交代が効果的だったのではないか。

敗因その3:代表ではイップス状態の香川

敗因その4

香川の状態は問題だが、攻撃陣全体の問題もある。

以下の写真は、それを端的にとらえている。相手ゴール前に5人も殺到すれば、プレーするスペースが潰れてしまうわけで、味方同士で状況をより難しくしてしまっている。

[caption id="attachment_330" align="alignnone" width="300"]20160902-05 相手ゴール前に殺到し、自分たちで自分たちのスペースを潰す攻撃陣[/caption]

敵ゴール前には、多くても3人くらいがポジションをとるに留めておくべきだろう。

ボールホルダーの酒井は、もう少し奥までボールを運んでクロスボールを送れるべきだし、ニアサイドに3人が固まっていることにも意味がない。

こういう極端な前がかりの攻め方を続けていると、DFにクリアされたボールを拾う準備をすべき選手が、いるべき場所にいないという事態が生じ、危険なカウンターをくらう確率が高くなってしまう。とにかくポジショニングのバランスが悪い。

いろいろとおかしいのである。

敗因その4:ゴール前に殺到する攻撃陣

敗因のまとめ

敗因その1については、審判問題だから、努力のしようがないので運が悪かったと諦めるしかない。

敗因その2については、選手個人の判断の問題なので、丁寧に指導者が指摘し続けるしかない。フィードバックが大事。

敗因その3については、香川は先発で使ってみて、パッとしなければ交代といった感じの起用法でいいのではないだろうか。少なくとも代表において、絶対的存在とは言えないわけだし。

敗因その4については、一番解決が簡単な問題だと思うのだが、誰も指摘していないのだろうか。不可解である。

監督も混乱しているんじゃないのだろうか。危険な兆候である。

まあ、久しぶりにピリピリとしたアジア最終予選を観れると思えば、それはそれで良いのだけれど。

 

ではでは。

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